発達障害のある子の乳幼児期・学童期のかかわり

ご質問をいただきました。

  • 「対人関係が、苦手(仲立ちが必要なことが多い)な子(4~5歳)に対して、支援者としてどうサポートしてあげることが、この子のためになりますか?支援者がしたほうがいい事、やめたほうがいいこと」

野村先生からのコメントを現在、待っていますが、琉球病院の子ども心療科医師の遠藤尚宏からの回答を先に載せます。

まずは、この子の発達段階が大事です。全体的な発達段階がある程度年齢相応なら、「楽しいことが優先」という時期なので、遊びを通して、他者との関係性を作ったり、ルールを守ったり、スケジュールを意識したりする練習をしていったほうがいいと思います。ただ、コミュニケーションの苦手さがないお子さんでも、4~5歳は、都合が悪いとルールを自分で変えようとしたり、すねたりするのは普通ですから、あくまで、できないことを修正するというスタンスではなく、できている部分をしっかりほめて伸ばす、というアプローチが大切です。落ち着きがない子や興味が偏っている子であれば、個別の声掛けをする、本人が興味のあることにからめて、集団活動にひきこむなどの工夫がいるでしょう。あいまいな指示より、具体的指示が入りやすい子もいます。たとえば、「友達にやさしくする」よりは、「泣いてる子がいたら、「どうしたの」という」など、具体的にこちらが求める言動を伝えたほうがいいでしょう。

発達段階、特に言語面が3歳以下のレベルであるという場合は、言葉によるやりとりに着目しすぎず、まずは、その場に一緒にいること、一緒に何かの活動をできること、楽しい・うれしいなどの感情を共有できる時間を作ることからはじめていくとよいと思います。そうすることで、徐々に他者への関心が深まり、コミュニケーションや言語によるやりとりにつながります。また、対人面が苦手で、言語の遅れがある場合は、かんしゃくもけっこうあると思います。かんしゃくが続くと、大人もイライラしてきて、迫力で子どもをコントロールしたくなってきますが、それでは、大人が一方的なコミュケーションのやり方を教えていることになり、言語能力を伸ばすきっかけにならないし、怖い大人をモデルとして、子ども自身も力で他者をコントロールしようとするようになります。かんしゃくは、予告、環境設定でまずは予防し、いったん起きたら、過剰に反応せずに、落ち着くのを待ってから、振り返りをしましょう。過去の見守る会でかんしゃくの対応を扱っていますので、そちらもご参照ください。